🕊️ふくしまものがたり🕊️
〜どんなものにも物語(ストーリー)がある〜
福島県の応援したい、多くの人に知ってほしい活動、
人々、モノ、コト、を紹介しています
第14話
落語協会所属 真打噺家
六代目 玉屋柳勢 師匠
2024年7月 郡山市
2024年7月7日(日)
郡山市内にて開催された独演会「ここだけの話」
終演後にお話を伺いました。
(共催:玉屋柳勢・郡山若手落語会こいらく)
「ここだけの話」
解説付き落語とは?
2020年から柳勢師匠が独自に始めた自主公演
「ここだけの話」
落語を1席か2席のあとに、その噺についての解説をするスタイルです。
この日は大ネタ「死神」の後に、それに纏わるエピソードを披露。
落語「死神」について深掘りした話、習った師匠の話やその他諸々...
門外不出、参加者のみが知ることができる「ここだけ話」なので内容についてはここまで。
事前の予想では、一方的に解説を聞くようなスタイルなのかなと思っての参加でしたが、
実際の感想としては柳勢師匠と会話をしているような距離の近さと空気感。
深掘りした話を聞くことによって、落語の世界との距離感が急に近くなったような気がしました。
落語通はもちろんなのでしょうが、初心者でも次にどこかで「死神」を聴いた際は、この日の話を思い出し
て、事情通のような顔ができるはず。
私は、あのエピソードを知っているのだと....。
会場に詰めかけた落語ファン、柳勢師匠ファンも貴重なエピソードに真剣に耳を傾けていた。
そもそも師匠が「ここだけの話」を始めた理由については公式サイトにこのように紹介されています。
_______________
落語の「見方」を少しでも広げるお手伝いができたらと、神田「鼠の穴」さんにて15回にわたり開催して参りました。
落語と悪戦苦闘してきたからこそ語れる、噺家目線の解説。
実際にお稽古をつけて下さった師匠とのエピソードや稽古の内容、落語についてなど、寄席芸人として地道に歩んできたからこその解説です。
後輩にお稽古をつけるとしたらこんな感じ、という体で。
普段は話さないオフレコ話もあるかも。
内容は門外不出で。
______________
玉屋柳勢 公式サイトより
「知らないで聴くよりも、知った上で聴く面白さがある」
落語の背景やキャラクターを理解することで、より深い楽しみが得られるということを教えていただいた今回の取材。落語の一つ一つの演目には、その時代背景や人間関係、さらには登場人物たちの個々のエピソードが隠されており、そうした情報を知ることで、物語の奥行きや登場人物の魅力をより深く味わうことができるのです。
「ここだけの話」で落語の見方を聴き方を伝えるだけではなく、「ヒルラクゴ」「101らくご」「柳勢会」など独自の会を主催し、気軽に落語と触れ合う機会をたくさん企画されています。
落語は生で観ることにこそ最大の醍醐味があると柳勢師匠は強調されました。
息遣いや表情、声のトーン、間の取り方など、演者の細やかな演技が観客に直接伝わることで、物語がより立体的に感じられます。生で観るからこそ味わえる臨場感や臨時体験があるのです。
師匠はその魅力を存分に味わってほしいと強く願っておられました。
残念ながら、福島県には落語会の数は少ないです。
だからこそ、貴重な落語会情報を耳にしたら、ぜひ足を運んでみてはいかがでしょうか。
噺家と扇子と手拭いだけで、何人をも演じ分け、あらゆる空間を作り出す極上のエンターテイメント。
ぜひ一度体感していただきたいと思いました。
<プロフィール>
玉屋柳勢 ( たまや りゅうせい )
2005年3月 早稲田大学教育学部社会科卒業
2005年3月 柳亭市馬に入門
2005年11月 前座となる 前座名「市朗」
2008年11月11日 二ツ目昇進「市楽」と改名
2020年3月21日 真打昇進「六代目 玉屋柳勢」襲名
柳勢師匠の師匠は、
前・落語協会会長の「柳亭市馬」師匠。(2024年7月より同協会顧問就任)
高校卒業後に「五代目 柳家小さん」に弟子入りし、柳派の正統派落語保守本流として確固たる地位を築いた方です。
その一番弟子の柳勢師匠ならば、なるほど納得と思える、落語への情熱を対談では語ってくださいました。
落語という話芸を単純に楽しむことに加えて、深く知ってもらうことで、更なる魅力を発信していく。
「古典落語」の継承と、それを身近なものとして興味を持ってもらうための活動、優しい表情の柳勢師匠からは熱い熱い落語への愛を感じました。
その様子は、ぜひ対談動画よりご覧ください。
柳勢師匠の奥様の現在のご実家が須賀川ということで、福島県での落語会を度々開催されています。
須賀川市民交流センター「tette」、須賀川牡丹園 等々、
今後もぜひ福島県での開催を期待したいと思います。
玉屋柳勢師匠(右)と
irodori編集長小野寺(左)
ご協力いただき、ありがとうございました。
取材 小野寺彰子
文 佐藤真由美