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第18話
 一般社団法人 ふくしま逢瀬ワイナリー
代表理事 兼 営業責任者
大河原 久尚さん

〜2024年10月 郡山市逢瀬町〜

葡萄畑・醸造所見学編

ショップ編

トンボたちが軽やかに飛び交う10月半ばの昼下がり。

郡山市逢瀬町にある ふくしま逢瀬ワイナリーへ。

代表理事 兼  営業責任者・大河原久尚さんにご案内頂いた。

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畑を案内してくれた大河原さん(左)と編集長小野寺(右)

ふくしま逢瀬ワイナリーは、

福島県の特産品である果物の6次産業化に向けて2015年にスタート。

市内や近隣の農家の方々にワイン用葡萄栽培を依頼し

「郡山産ワイン」を中心に「県内産ワイン」の製造を行っている。

 

ワイナリー内にある畑は実証圃場(多田野ヴィンヤード)となっており、各農家に情報発信しながら、郡山の土地にはどんな品種が合うのか、検証も進められていく予定だ。

この日はメルロの収穫を行なっており、醸造責任者である松尾弘則さんも作業をされていた。

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8月以降の天候が影響し、収穫が10月半ばとなったメルロ

松尾さんは、収穫について「一年間の集大成。大変だが楽しい」という。しかし今年は8月中旬あたりまでは気候が良かったものの、お盆以降、だいぶ大変だったそうだ。

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黙々と収穫作業に勤しむ皆さん 収穫にはとにかく人手が要る

郡山市の気象データによると、2024年の降雨量は昨年と比べて約110%、日射量は約80%。葡萄にとっては厳しい状況だ。緻密な計算と的確な判断で、収穫された葡萄をどう活かしていくかが醸造家の腕の見せどころとなる。

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ふくしま逢瀬ワイナリーは郡山から土地を借り実証圃場(多田野ヴィンヤード)としてワイン用葡萄を栽培している

それにしても自然を相手にする農業は、本当に大変である。実際に、手間ひまがかかっている状況を目の当たりにすると、ワインを口にするたび感謝の気持ちが自然と芽生える

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今後どの品種が郡山に合うかどうかも見極めていく

続いて醸造所の見学へ。

収穫された葡萄は、振動選果台やバルーン型のプレス機を経て醸造される。

(葡萄品種によって工程は違う)

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新しく導入された除梗機

タンクは基本的に生産農家ごとに分けられている。試飲をしながら単独かブレンドか、ステンレスか樽か。どんなワインにするのかポートフォリオを決めていく。当然だが、同じ味は作ることが出来ない。それがワインの面白いところだ。

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タンクは栽培農家ごとに分けられ醸造される

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樽は呼吸する素材。ワインが減少したら補酒を行なっていく

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発酵状態は装置の泡立ち具合で判断する

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蒸留機では葡萄や梨、林檎のブランデー等を製造

ふくしま逢瀬ワイナリーでは、ワインの他にもブランデー等を販売しているが、いずれは地元のハーブを使ったジンなど「ふくしま逢瀬ワイナリーならではの商品」も構想中だ

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6次産業化を目的にスタートしたふくしま逢瀬ワイナリーの取り組み。

農家の方々も、試行錯誤しながらの葡萄栽培だったことは容易に想像できる。

これまで携わってきた農産物とは違う手の掛け方・手段に戸惑いや葛藤、不安もあっただろう。

苦労して育てた葡萄がワインになる。何にも代え難い喜びに違いない。

そして生産者の想いも含めて根気強く支え続けてきたワイナリーの存在も大きい。

生産者や醸造に携わる人たちの不断の努力で、葡萄の品質も上がり、コンクールで賞を受賞する商品も増えてきている。

地元産業としての誇りとプライドが、実を結ぶようになってきたのだ。

一方で、担い手不足が課題になっている。これから仕事を考える若い人達や、移住組などに少しでも葡萄栽培に興味を持ってもらえるようなアプローチは必要かもしれない。

 

ふくしま逢瀬ワイナリーでは、地元小中学生の職場体験も積極的に受け入れている。

実際に葡萄の収穫や醸造の様子など、目で見て手で触れ香りを嗅ぐことで得られる気づきは非常に大きいはずだ。

いつかこの場所で体験をした生徒さんが醸造家となりワイナリーで働いてくれたら、と想像したら胸が高鳴る。

ワイナリーも、まもなく10年という節目。

ワイン作りはもちろんだが、様々な活動を行うことで、着実に地域に根付いてきている。

 

「ようやく10年。でもまだここからです。」

大河原さんの言葉には、静かな強さがあった。

郡山の地図を回転させると葡萄になるというお洒落なエチケット

まさに「こおりやま は ぶどう」

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蒸留機のあるふくしま逢瀬ワイナリーならではの商品

Fukushima spirits set (和なし、ぶどう、りんご) セット(左)

首掛けのラベルでボトルデザインにもこだわりがある、りんごのブランデー オー・ド・ヴィ・ド・ポム(右)

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優しいりんごの味わい、ほのかな酸味、きめ細かい泡を楽しめるシードル

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1つの圃場で収穫された「ふじ」を中心とする12種類の りんごをブレンドした

ふくしまMEGRI シードルと、もものスパークリング(2023年〜全国展開)

ラベルデザインはデザインオフィスnendoによるもの〜MEGURIブランド〜

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福島市に圃場を構えるりんご農家「果樹園やまと」さんの

ふじりんご100%の りんごジュース

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大河原久尚さんと編集長小野寺

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一般社団法人 ふくしま逢瀬ワイナリー

福島県郡山市逢瀬町多田野字郷士郷士2番地

ショップ営業時間:土日祝10時-16時 火曜~金曜11時-16時
ショップ定休日:月曜(祝日除く)
フリーダイヤル:0120-320307(10時~17時)

 

https://ousewinery.jp

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​ご協力いただき、ありがとうございました。

 

​取材​・文 小野寺彰子

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