🕊️ふくしまものがたり🕊️
〜どんなものにも物語(ストーリー)がある〜
福島県の応援したい、多くの人に知ってほしい活動、
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第15話
Bakery Pun 店主
パン職人 伊藤貴一さん
2024年8月 西郷村
西郷村の住宅街、細い道を入った奥にあったのは、古民家を改装したパン屋さん。
Bakery Pun 店主であるパン職人、伊藤貴一さんにお話を伺った。
終始和やかな笑顔でお話してくださった伊藤貴一さん
伊藤さんは、警察官〜市役所職員を経て〜パン職人という異色の経歴を持つ。
そんな伊藤さんがたどり着いたのはこの西郷村。
リノベーションやDIYに夢中になっていたタイミングで、この家に出会った。
家が気に入ったことをきっかけに仕事を変えたのだという。
元々の家主は、西郷村において有名な人物で、タクシードライバーには、
「元◯◯さんの家」と言えば通じてしまうほどだ。
そんな広々とした古民家は、伊藤さん自らが手を加えて改装した。
組み合わさった建具も、まるでアートのように美しく、そして空間に溶け込んでいる。
こだわりの建具を芸術的に組み合わせたエントランス
小さな町に溶け込むことに一抹の不安はあったものの、それは杞憂に終わった。
住めば都を体現しているような生き方をしている。
家が自分の理想の形に近づくにつれ、次のステップを考えた伊藤さん。
元々食べ歩きが趣味で、毎週末黒磯までパンを買いに行くほどだったところからパン職人になろうと公務員をスッパリと辞めた。
KANEL BREADという黒磯で有名なパン屋で修行した伊藤さん。警察官なども経験していたこともあり体力には自信があったが、想像以上に過酷だったという。けれど、一緒に働く仲間たちにも支えられて修行期間を乗り切った。そしてBakery Punを開店。
西郷村の静かな住宅地にあるBakery Pun
2024年の4月にオープンしてまだ1年も経たないうちに、あっという間に有名になり営業日には行列が出来てしまうほどだ。
とあるイベントに出店したPunのパンを食べて感動したirodoriスタッフ。
すぐさま連絡をもらった私も、湯だね食パンを購入したのだが、これまで食べていた食パンとは全くの別物と言っていいほど、その美味しさに驚いた。もっちりとした食感に加え、瑞々しさがありトーストすると外側がサックリと軽やか。甘味がより引き立って、何もつけずにぺろりと一斤いってしまいそうなほど美味しい。
修行時代のノウハウを活かしながらも伊藤さん独自に工夫し、粉を改良。水分量も1%台でこだわったという。食パンは予約ですぐに売れてしまうほどだ。
どれもこれも美味しそうで目移りしてしまう・・・
営業日の開店は11時。開店前からお客様が並ぶこともよくあるそうで。そんな行列を見ていると申し訳なく感じて、つい早めにオープンさせてしまうのだとか。なんとも伊藤さんの優しさが滲み出るエピソードだ。
週に2日の営業日は、いつも多くの人で賑わうBakery Pun
自分の手を動かして生み出していくことが好きな伊藤さん。
今はパン職人として、地域に愛されるパン屋を「とりあえず」細く長く続けたいというが、
この町に暮らして多くのエッセンスを吸収した伊藤さんが、次にどんなことをしてくれるのか、想像するだけで楽しい。
「もしかして10年後は、また違うことをしているかもしれません」と笑いながら話す伊藤さん。その未来も見てみたいものだ。
伊藤貴一さん(右)と
irodori編集長小野寺(左)
ご協力いただき、ありがとうございました。
取材 小野寺彰子